皆さん、こんにちは!ファインマンです。
最近、YouTubeをはじめとする動画プラットフォームの動向を見ていると、気になる点がいくつかあります。特に、AI(人工知能)が生成する動画の増加と、それに伴う広告の質の低下は、見過ごすことのできない問題だと感じています。
もちろん、有用である部分も多くあると思っています。このブログ記事もAIを利用して書いています。
知らぬ間に拡散?リアルさを増すAI動画の脅威
トランプ大統領の就任以降、フェイクニュースの問題が大きく取り上げられるようになりましたが、近年、その様相は新たな段階に入っています。それが、AIによって生成された動画の登場です。
まるで本物のような映像をAIが作り出すことで、これまで以上に不正確な情報や、意図的に作られたフェイクニュースが拡散しやすくなっていると感じませんか?ニュース映像を模倣したものから、著名人の発言を捏造したものまで、そのクオリティは日々向上し、私たちが見た目だけで真偽を判断することがますます困難になっています。
日本でも他人事ではない!AI動画がもたらす情報のかき乱し
日本においても、AI動画の影響は決して無視できません。海外のニュースをあたかも国内で起きたかのように見せかける動画や、誤解を招くような政治的な主張をAIが生成する可能性も十分に考えられます。
情報源が曖昧な動画や、あまりにも衝撃的な内容の動画に出会った際は、すぐに鵜呑みにするのではなく、複数の信頼できる情報源と照らし合わせる慎重さが必要です。
フェイク動画に対する規制動向
フェイク動画、特に近年注目されているディープフェイク技術を用いた動画の規制動向は、海外と国内でそれぞれ異なる動きを見せています。
海外の動向
包括的なAI規制の動き:
- EU: 2024年3月に、AIに関する包括的な法的枠組みである「AI法(AI Act)」が欧州議会で可決され、2026年頃に本格適用が見込まれています。この法律には、一部ディープフェイクに関する規制も含まれています。
- 特定の目的やコンテンツに焦点を当てた規制:
- アメリカ: 連邦政府レベルでの包括的な規制はまだありませんが、複数の州で特定の目的やコンテンツに関する規制が進んでいます。
- 選挙関連: テキサス州などでは、選挙に影響を与えることを意図したディープフェイク動画の制作・配布を禁止する法律が成立しています。
- ポルノ: バージニア州などでは、同意のないディープフェイクポルノの配布を違法とする法律があります。カリフォルニア州では、ディープフェイクヌード画像の作成と拡散を違法とする法律や、ソーシャルメディアプラットフォームにユーザーがそのような画像を報告できる仕組みを設けることを義務付ける法律が制定されています。また、俳優等のデジタル肖像の無断使用を規制する法律も成立しています。
- カリフォルニア州: 2024年9月には、選挙関連のディープフェイク規制を含む9つのAI関連法案に知事が署名しました。また、生成AIコンテンツの出所データ開示義務や、無料の識別ツールの提供も義務付けています。
- アメリカ: 連邦政府レベルでの包括的な規制はまだありませんが、複数の州で特定の目的やコンテンツに関する規制が進んでいます。
- プラットフォーム側の対応:
- EUの「デジタルサービス法(DSA)」では、大規模オンラインプラットフォームに対して、偽情報を含む違法・有害コンテンツの拡散リスク評価や軽減措置の実施を義務付けています。
- 主要なプラットフォーム(Google、Meta、TikTok、Microsoftなど)は、「偽情報に関する行動規範」に署名し、EU加盟国レベルでのデータ提供や透明性センターの開設などの取り組みを行っています。
EUのAI法
EUのAI法(AI Act)は、AIシステムのリスクレベルに応じて規制の強度を定める包括的な法的枠組みです。
- リスクレベル:
- 許容できないリスク: 人権侵害や悪意のある操作など、安全を脅かすAIシステムは禁止されます。
- 高リスク: 医療機器、教育、雇用、選挙など、特定分野で使用されるAIシステムは、厳格な要件を満たす必要があります。
- 限定的リスク: 透明性の要件が課せられます。
- 最小リスク: 規制対象外となります。
- 禁止されているAI:
- 有害なAIによる操作と欺瞞
- 脆弱性の悪用
- ソーシャルスコアリング
- 犯罪リスク評価
- 顔認識データベースの作成
- 職場や教育機関での感情認識
- 生体認証による特定の属性の推定
- 公共スペースでのリアルタイム遠隔生体認証(法執行目的)
- 施行時期:
- 2024年8月1日に施行。
- 禁止されているAIの使用に対する禁止規定は2025年2月2日から適用。
- 高リスクのAIシステムに対する規定は2026年8月2日から適用。
より詳しい情報については、Regulation – EU – 2024/1689 – EN – EUR-Lex – European Unionをご参照ください。
カリフォルニアAI透明性法(SB 942)
カリフォルニアAI透明性法(SB 942)は、AIによって生成されたコンテンツの透明性を高め、消費者がAI生成コンテンツであることを認識できるようにすることを目的とした法律です。主に以下の点を義務付けています。
- AI検出ツールの提供(大規模プロバイダー): 一定規模以上のオンラインプラットフォームプロバイダーに対し、ユーザーがプラットフォーム上のコンテンツがAIによって生成されたかどうかを検出できる無料のツールを提供することを義務付けます。
- AI生成コンテンツの開示: プラットフォーム上でAIによって生成されたコンテンツを公開する場合、その旨を明確かつ目立つように開示することを義務付けます。
目的:
- 消費者がAI生成コンテンツであることを認識できるようにすることで、誤解や欺瞞を防ぐ。
- オンラインプラットフォームにおける情報の透明性を向上させる。
- ディープフェイクやAIによる偽情報の拡散に対抗する。
施行時期:
- 2026年1月1日
この法律は、特に大規模なオンラインプラットフォームに対し、AI生成コンテンツの検出と表示に関する責任を課すことで、より透明性の高い情報環境を目指しています。
より詳しい情報については、米国カリフォルニア州における生成 AI 関係法制 – 国立国会図書館デジタルコレクションをご参照ください。
国内の動向
- 直接的な規制は限定的: 現時点では、フェイク動画やディープフェイク動画そのものを直接的に規制する法律は、日本においてはまだ整備されていません。
- 既存の法律による対応:
- 名誉毀損罪(刑法第230条): 悪意のあるフェイク動画の公開は、名誉毀損罪に該当する可能性があります。特に、ディープフェイクポルノのように、事実と異なる情報で他者の社会的評価を低下させる場合は適用が考えられます。
- 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(リベンジポルノ防止法): この法律は、撮影された性的な画像を対象としていますが、ディープフェイクポルノにおいて顔を合成された被害者には、現時点では直接的には対応していません。ただし、悪質なケースでは、他の条項での適用が検討される可能性はあります。
- 著作権法: 著作権者の許諾なく著作物を複製・改変してフェイク動画を作成する行為は、著作権侵害に当たる可能性があります。ただし、AI開発のための情報解析など、著作物の思想・感情の享受を目的としない利用は例外的に許諾なく行えます。
- 今後の検討課題:
- 総務省を中心に、偽情報・誤情報対策に関する研究会や検討会が開催されており、今後の法整備を含めた対応が議論されています。
- 表現の自由への配慮や、偽情報の該当性判断の難しさなどから、法的規制には慎重な意見もあります。まずは民間部門による自主的な取り組みを基本とし、政府がその状況を注視していくという方向性が示されています。
海外では、EUを中心に包括的なAI規制が進むとともに、アメリカの州レベルでは特定の目的やコンテンツ(選挙、ポルノなど)に焦点を当てた規制が強化されています。プラットフォーム側も、自主的な対策や法規制への対応を進めています。
一方、日本では、現時点ではフェイク動画やディープフェイク動画を直接規制する法律はなく、既存の法律(名誉毀損罪、リベンジポルノ防止法、著作権法など)による対応が考えられています。今後は、海外の動向や国内での議論を踏まえ、法整備を含めた対策が検討されていく可能性があります。
巧妙化する広告の罠!安価な中国製品、保証は?サポートは?
さらに、動画プラットフォームで目につくのが、広告の質の低下です。特に、中国製の安価な商品の広告には注意が必要です。
魅力的な価格につられて購入したものの、品質が著しく低かったり、すぐに壊れてしまったりといった経験はありませんか?そして、いざ返品や交換をしようとしても、連絡が取れなかったり、「ノークレーム・ノーリターン」を盾にサポートを拒否されたりするケースも少なくありません。
あたかも高品質であるかのように謳いながら、実際には粗悪品を売りつけ、売ってしまえば後は知らないという悪質な業者の存在は、消費者の信頼を大きく損ないます。また、同じ広告が何度も繰り返し表示されることで、不快な思いをした方もいるのではないでしょうか。
日本におけるテレビ広告の減少と、それに伴うネット広告の急増は、近年の大きな変化として感じられますね。特に、これまで広告が少なかったサブスクリプションサービスにまで広告が導入されるようになったり、無料版のサービスで広告の表示頻度が増加したりする傾向は、ユーザー体験に大きな影響を与えていると感じます。
テレビ局の不祥事が広告出稿の判断に影響を与え、企業がより効果測定がしやすいネット広告にシフトする動きは自然な流れかもしれません。しかし、その結果として、私たちが日常的に利用する様々なオンラインサービスで広告を目にする機会が大幅に増えたことは事実です。
Amazonプライム・ビデオのように、以前は月額料金を支払うことで広告なしでコンテンツを楽しめていたサービスに広告が導入されたり、GoogleのYouTubeで広告を非表示にするためには有料のプレミアム会員になる必要性が高まったりしている現状は、ユーザーにとって複雑な感情を抱かせるものです。
これらの変化の背景には、以下のような要因が考えられます。
- 広告収入の重要性の高まり: コンテンツプロバイダーにとって、広告収入はサービスを維持・発展させるための重要な柱です。競争が激化する中で、新たな収益源を確保する必要性が高まっていると考えられます。
- ユーザーの多様なニーズへの対応: 無料でサービスを利用したいユーザーと、広告を避けたいユーザーという、異なるニーズに対応するための料金体系の変化とも言えます。
- 広告技術の進化: よりパーソナライズされた広告を表示することで、広告の効果を高め、収益を最大化しようとする動きがあります。
しかし、一方で、過度な広告表示はユーザーの利便性を損ない、サービス離れを引き起こす可能性も孕んでいます。特に、サブスクリプション料金を支払っているユーザーにとっては、「追加料金を払っているのに広告が表示される」という不満が生じやすいでしょう。
今後、オンラインサービスを提供する企業は、広告収入とユーザー体験のバランスをどのように取っていくかが重要な課題となるでしょう。ユーザーにとって受け入れやすい広告の形式や頻度、あるいは広告以外の新たな収益モデルの模索などが求められるかもしれません。
私たちユーザーとしては、サービスの料金体系や広告の表示方法の変化を理解し、自身のニーズに合った選択をしていくことが大切になります。無料版を利用する代わりに広告を受け入れるか、有料版に加入して快適さを得るかなど、サービスごとに判断していく必要がありそうです。
情報過多の時代を生き抜くために
AI動画の進化と悪質な広告の増加は、私たちが情報とどのように向き合うべきかを改めて考えさせてくれます。情報リテラシーを高め、鵜呑みにする前に立ち止まって考える習慣を身につけることが、ますます重要になっています。
動画を見る際には、以下の点に注意しましょう。
- 情報源を確認する: 誰が発信している情報なのか、信頼できる情報源なのかを確認しましょう。
- 複数の情報を比較する: 一つの情報だけでなく、複数の情報源から同じ内容が報じられているかを確認しましょう。
- 誇大広告に注意する: あまりにも都合の良い話や、極端な表現には注意が必要です。
- 安すぎる商品には警戒する: 相場からかけ離れた価格には裏があるかもしれません。
- 販売者の情報を確認する: レビューや評価、連絡先などを確認しましょう。
情報技術は日々進化していますが、その恩恵を最大限に活かすためには、私たち自身の情報リテラシーもアップデートしていく必要があります。
皆さんも、AI動画や悪質な広告に騙されないように、十分にご注意ください。そして、もし怪しいと感じた場合は、周りの人に共有したり、消費者センターに相談したりすることも大切です。
このブログが、皆さんの情報リテラシー向上の一助となれば幸いです。